3Dソフトウェア開発ツールキットを提供するスペイシャルは、ジオメトリエンジンの新バージョン「2026 1.0」の一般提供を開始しました。SOLIDWORKS 2026やCreo 12、NX 2506など主要CADの最新版に対応しつつ、CADデータ変換、モデル単純化、メッシュ生成前処理機能を中心に性能と安定性を高めたことが特徴です。

3Dデータ変換エンジン「3D InterOp」では、SOLIDWORKS用リーダーが加工品質に関わる粗さなどのPMI(製品製造情報)と、注釈付き3Dビューを読み取れるようになり、CAMソフトやCNCで設計意図を直接活用しやすくなりました。さらにCreoのアセンブリPMIや、STEP AP242によるMBD(モデルベース定義)エクスポートに対応し、設計・製造・品質管理を同一3Dデータで同時並行に進めやすくしています。

モデル簡略化を行う「Data Prep」では、内部部品を自動削除するHBR機能がSTEPやIGES、CATIA V5など多数フォーマットに広がり、パラソリッドベースの変換にも対応しました。3D ACIS Modelerではモデル比較機能や隠線除去(HLR)の高速化に加え、新製品「Mesh Prep for ACIS」を追加。ジオメトリのわずかなズレを補正するEntity Snappingや、チューブ形状のセンターライン抽出、中立面生成などにより、シミュレーション向けメッシュ作成の前処理を効率化します。

CGM Modelerでは、パイプの中立繊維半径算出、多面体ワイヤボディ生成、フィレット除去制御などを追加。表面メッシュ(CSM)とボリュームメッシュ(CVM)のアルゴリズムも改良し、複雑で不完全な3D形状からでも細かいメッシュを安定して生成しやすくしました。適応型メッシュ精緻化(AMR)のサンプルコードも用意され、CAE開発者の実装負荷軽減を狙います。

これらの機能強化により、CAD設計からシミュレーション、製造までの一連のワークフローが、よりデータ欠損に強く、高精度かつ自動化しやすい環境へ近づくとみられます。3Dデータの一元管理やMBDへの移行が進む中、ソフトウェア開発各社がどこまで新機能を自社アプリケーションに取り込み、生産現場の省力化につなげられるかが今後の焦点になります。

source: PR TIMES

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